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ゴキブリ駆除に実弾を使うのは些か勿体無い気もするが、今回はしょうがない。
「逃げるなっ!この変態!」
「変態はねェだろ!!」
「てめぇなんざ変態で十分だ!」
再び銃に銃弾を詰めて悟浄へ向けようとした時、背後に殺気を感じ思わず銃を打つ手を止めた。
「三蔵!」
「あぁ?」
「代わって下さい。」
「何言って・・・」
もう少しで殺れる所を邪魔されて苛立っていた俺が声の主を睨むよう振り向いて、文句を言おうと口を開いたが・・・俺はその言葉を呑んだ。
普段の温厚な笑顔は見る影もなく、まっすぐ俺を通して肩で息をしている悟浄を見ている・・・いつもとは違う八戒がそこにはいた。
「・・・代わって下さい。」
「・・・あぁ。」
俺が悟浄とやってる間に何があった?
普段温厚な人間ほど怒らせるとまずいという事は・・・お師匠で十分懲りている。
だから俺は素直に八戒の言葉に従い、今だ酒に酔っているを引き受けた。
「さんぞぉーv」
「何だ。」
「なんでもなーい♪」
用がないなら呼ぶんじゃねぇ!ったく、酔っ払いの扱いなんざ知らねぇぞ。
ため息をつきながら俺が逃げないようしっかり法衣の裾を掴んだの隣に腰を下ろす。
部屋の隅からは妙に緊張した空気が伝わってくる・・・が、俺の知った事じゃない。
「さんぞぉ?はっかいとごじょーは?」
「・・・取り込み中だ。」
「おはなし?」
「・・・あぁ。」
コイツは本当に俺より年上なのか?
普段ならまだしも今のコイツはそうは思えんぞ!?
悟空と同じ、いや、それ以下でも問題がないだろう。
取り敢えず我関せずと言った状態で新聞でも読もうと手を伸ばしたら、今度はその手を悟空に掴まれた。
・・・いやがらせか?
「なぁ三蔵、何かあの二人すっげー怖ぇんだけど・・・」
「知るか。」
「ほっといていいの?」
心配そうにあいつ等の様子を見ている悟空を見て、もそちらへ視線を向けた。
「なぁなぁ三蔵!」
「煩い。」
ただでさえ酔っ払ったが俺の法衣を引っ張ってやがるからそれを押さえるのでも苦労してるんだ。
これ以上俺をいらつかせるんじゃねぇ!
「俺、八戒と悟浄が喧嘩するのなんか見たくないよ!」
「だったらてめぇが何とかしろ!」
苛立ちも最大限になった所で俺の法衣を掴んでいたの手が緩み、酔っ払い特有のふらふらした足取りであの二人の方へ向かって行った。
「ですから貴方は一体何を考えてるんですか!」
「そんな事お前の知ったこっちゃねェだろ!お袋かっテメェは!!」
肩で息をしながら何かを言い争っている二人の間にひょっこり割り込むと、は交互に二人の顔を覗き込んだ。微妙に頬を引き攣らせながら、それでもを怯えさせないよう笑顔を作ろうとする二人の様子は・・・面白い。緊迫した二人の間に入ったを心配して慌てて助けに行こうとした悟空を押さえ込む。
このままほっといてがあの二人をどう扱うのか・・・興味があるからな。
そんな俺の気も知らず、僅かに士気を削がれた二人が困ったようにを見ている。
「はぁ〜っかいv」
「・・・はい。」
「ごーじょぉv」
「・・・ナニ。」
二人の意識が自分の方に向いたのを確認すると、はおもむろに両手で二人の手を取り ――― 重ねた。
「仲直りぃ〜♪」
「「は?」」
そう来たか。思わず頬が緩み口元を押さえた。
ついさっきまで殺気立っていた二人からそれは消え、今はただ間にを挟んで重ねられた手をどうすればいいのか思案しているような顔だ。
八戒は苦笑しながら繋がれた手を押さえているを見た。
「・・・?まだ酔ってますね?」
「酔ってないもーん♪」
鼻歌を歌いながら繋いだ手を微かに揺らしているを、悟浄は八戒と同じように苦笑いをしながら見つめている。
「酔ってない人間がそんなたどたどしい喋り方するかよ。」
「喋るもん。」
「可愛いじゃないですか。」
「いや、そりゃ可愛いけどな・・・」
何故あいつらがをここに置いているのか、怪しいだけの存在の人間をここまで大切にしているのか・・・それが少し分かる気がした。
「・・・さ、さんぞ?」
ついさっきまで俺に押さえ込まれていた悟空が妙な面でこっちを見ていた。
「・・・悪いモンでも食った?」
「てめぇと一緒にするんじゃねぇ。」
それだけ呟くと俺は悟空を押さえ込んでいた手を離し、二人の方へ進んだ。
その間ものワケの分からない会話は続いていたらしく、二人は妙に思案顔だった。
その時、二人の手を握っていたが笑いながら急に体勢を崩し倒れかけた。
「!」
「チャン!?」
それを支えようにもに手をしっかり握られた二人が手を伸ばす事が出来るはずも無く、そのまま床に倒れそうになったへ俺は極自然と手を伸ばした。
「「三蔵!?」」
「あ〜さんぞぉーだぁー」
とろんとした目で背中を支えた俺を見上げるの目は、何処か相手を引き付ける力がある。
不覚にも一瞬動きを止めてしまった。
「さんぞ?」
の声で我に返り、その体をひょいっと抱き上げて二人から引き離す。
「・・・まだ喧嘩するようならこいつのいない所でやれ。煩くてかなわん。」
「わぁ〜いさんぞーが抱っこしてくれてる〜♪」
「・・・くだらん事言うと落とすぞ。」
「いーやぁ〜♪」
ニコニコ楽しそうに笑いながらしっかり俺の首に手を回してきた瞬間、微かに香る甘い酒の匂い。
そのままソファーへ向かおうとした俺の背に、悟浄と八戒の声がかかるが・・・今はコイツの声に耳を傾けるか。
「さんぞぉ。」
「・・・何だ。」
「何でもなーい。」
俺が返事をしてやる事でお前が喜ぶなら、あとの事は・・・構わん。
ギュッと俺の首に手を回して抱きついてくる小さな体を抱きしめながら、ゆっくりソファーへ向かった。
それからが眠りにつくまで俺の法衣を離さなかったので、そのまま腕に抱き続けた。
そんな俺の顔を見て、悟空のヤツが妙な事を言い出したのでいつものようにハリセンを振るった。
だが・・・それが間違いではないと、今は否定する気にもなれなかった。
NO:24碧李サンの『三蔵一行勢ぞろいの時に酔って抱きつき魔になる。→抱きつかれるの2回目な悟浄さんが3人にばれちゃって大ピーンチ(逆ハー三蔵より)』と言う事だったのに・・・やーけーに長くなって三部作な上、そのつど視点が違ってすみません(苦笑)
しかも八戒が・・・恐いです、えぇ本当に!!!
取り敢えずこのお話を書いて分かった事は・・・うたた寝ヒロイン実は最強!?と言う事です。
八戒に抱っこだけならまだしも、玄奘三蔵法師様に同じ台詞を言える人はいないでしょう。
あとは彼女にお酒を飲んだ時の記憶がない事を祈るだけですね(苦笑)
でもこの話は思いっきり皆に甘えられたし、三蔵にも抱きつけたし・・・やりたい放題出来たので取り敢えず満足してます(笑)
一周年宴会のラストを飾るには・・・ちょうどいい作品になったなぁ〜なんて♪